スイスサッカー協会から子ども向けサッカー絵本の前文にあるパパへの手紙をご紹介します
Fユース(U-9)の子どもからパパへの手紙
パパ、パパがこないだピッチの外に置いてあったゴールによじ登ってレフェリーに文句を言ったでしょ。
あの時、僕はすごく頭にきて泣きそうになったんだ。あんな怒り方、今まで見たことなかったよ。
たぶん、レフェリーが間違ったんだとは思う。
でも、僕がたとえパパの言うように「レフェリーのせいで」試合に負けたんだとしても、そんなことはどうでもよくて、
僕はとっても楽しかったんだ。わかってほしいんだ、パパ。僕はプレーしたい、それだけなんだよ。
僕は楽しみたいんだ。だから、僕がプレーをしているときには、「パスしろ!」とか「シュートだ!」とか、
叫び続けるのはやめて。パパの言うことはあっているのかもしれないけど、僕が緊張してしまうんだ。
パパ、もう一つあるんだ。試合中にコーチが僕のことを交代させても、怒らないで。
僕は、ベンチにすわってみんながプレーしているのを見るのだって楽しいんだよ。
僕らは大勢いるし、みんながプレーしなきゃだめでしょ。
それから、僕にサッカーシューズをきれいにするやりかたを教えてくれる?
僕のなんだからパパがやってくれなくていいんだ。僕が自分でできるようにならなきゃいけないんだよ。
それからスポーツバッグは僕が自分で持ちたいんだ。バッグにはチームの名前が書いてあるから、
僕がサッカー選手だってまわりのみんながわかるだろ? 僕、それが好きなんだ。
パパ、お願い。試合の後にママに「今日は勝った」とか「負けた」とかって話すのはやめて。
ママには僕がとっても楽しんでいたって伝えてほしいんだ。
それから、僕がすごいシュートを決めたから勝った、って言うのもやめてね。
だって、そうじゃないんだもの。僕がシュートを決めたのは、仲間が僕に良いパスをくれたからなんだよ。
勝ったのは、僕らのチームのゴールキーパーが必死に相手のシュートを防いでくれて、
チームの仲間が全員でせいいっぱいがんばったからなんだ。
(コーチが僕らにそう教えてくれるんだ)怒らないでね、パパ。こんなことを書いてしまったけど。
僕、パパが大好きなんだ。練習に遅れてしまうので、これでおしまいにするね。
練習に遅刻すると、今度の試合にはじめから出してもらえないんだよ。
じゃあね。
※日本サッカー協会「子供の大会に関わる大人向けハンドブック」より